受け口（反対咬合）は
矯正で治る？
大人の治療法・
期間・費用を
徹底解説
受け口（反対咬合）とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせのことを指します。横顔がしゃくれ気味に見えたり、発音がしづらかったり、食べ物が噛み切りにくいなど、見た目だけでなく機能面にも影響する不正咬合の一つです。
子どもの頃に治療するイメージが強いですが、実は大人になってからでも矯正で改善できるケースがあります。
この記事では、大人の受け口を矯正で治す方法や、治療期間、費用、手術が必要なケースなどについて詳しく解説します。
受け口
（反対咬合）とは？
原因と特徴
1)受け口とは
受け口とは、上下の噛み合わせが逆転している状態を指します。
正常な噛み合わせは、上の前歯が下の前歯をわずかに覆うように噛み合いますが、受け口では下の前歯が前方に出てしまい、上下の関係が逆になっています。
受け口の特徴としては、発音のしづらさ（特にサ行・タ行）、顎関節への負担、食事時の噛みにくさ、顔の下半分が長く見えるなどの審美的変化が挙げられます。
2)骨格性の受け口
顎の骨格自体に原因があるタイプで、下顎が前方に成長しすぎているケースです。
骨格的なバランスの問題のため、歯を動かすタイプの矯正治療だけでは改善が難しく、外科的矯正を併用する必要があります。
3)歯性の受け口
骨格の形は正常でも、歯の傾き方に問題があるタイプです。下の前歯が前方に傾いていたり、上の前歯が内側に倒れていることが原因です。
大人でも
受け口は矯正で治せる？
1)基本的には
顎の成長が終わる前に治療する
受け口は顎の成長が終わる前、子どもの頃に治すのが良いとされています。
なぜなら、受け口は骨格性の問題のものが多く、大人になってから骨の大きさを変えるのは難しいためです。
しかし、もし歯性の受け口の場合、歯の位置を正しい位置へ動かすことで、噛み合わせと見た目を整えることができる可能性があります。
2)歯列矯正だけで改善できるケース
軽度～中等度の受け口で、骨格のズレがない場合には、マウスピース矯正やワイヤー矯正で改善できる可能性があります。歯を後方へ移動させる、または上の歯を前方に出すことで噛み合わせを整えます。
3)外科的矯正が必要なケース
下顎の突出が大きい、あるいは上顎に比べて下顎自体が比較的大きい場合は、手術による骨格の位置修正が必要になります。
歯を動かすだけの矯正では限界があるため、外科矯正で骨格を整え、術後にワイヤー矯正などで細かな噛み合わせを調整します。
主な矯正方法の特徴
1)マウスピース矯正の特徴
透明のマウスピースを使用し、それらを1週間〜10日ほどで取り替えながら、少しずつ歯を動かして噛み合わせを整えていく方法です。
歯性の軽度の受け口に適しており、見た目を気にせず治療が可能です。取り外しができるため、衛生的にも優れています。
2)ワイヤー矯正の特徴
歯にブラケットを装着し、その上にワイヤーを渡して歯列を動かす治療法です。歯のコントロールがしやすく、歯性の中等度の受け口にも対応できます。
表側矯正、裏側矯正のいずれも選択可能です。
3)外科的矯正の特徴
骨格性の場合、外科的矯正を行います。
骨を一度切り、前後または上下の位置を整える下顎枝矢状分割術などが代表的です。見た目の改善効果も大きく、噛み合わせを根本から正せます。
治療期間と通院の目安
1)マウスピース矯正、
ワイヤー矯正の場合
平均的な治療期間は2年〜3年程度です。
月1回程度の通院で進行を確認しながら、歯の動きを微調整していきます。軽度のケースでは1年半ほどで治療を終えることも可能です。
2)外科矯正の場合
手術前後の歯列調整も含めると、3年〜4年ほどかかることがあります。
術前矯正で歯の傾きを整え、手術で骨格を修正したのち、術後矯正で噛み合わせを仕上げます。長期間にはなりますが、根本的に改善できる点が大きなメリットです。
治療費の目安
1)マウスピース矯正
80万〜110万円前後が一般的です。
程度が軽度であれば比較的安価に収まる可能性があります。
2)ワイヤー矯正
全体矯正の場合、70万〜110万円前後が相場です。部分的な改善で済む場合は、50万円前後になることもあります。
3)外科的矯正
外科手術が必要な場合は保険が適用されることもあります。自費で行う場合は150万〜300万円ほどになることもあります。
受け口を
放置するとどうなる？
受け口をそのままにしておくと、見た目だけでなく、歯や顎の機能に影響する可能性があります。
- 奥歯への過度な負担による歯のすり減り
- 顎関節症の発症リスク増加
- 発音障害や咀嚼機能の低下
- 顔貌の非対称の進行
長期的には、顎関節や歯周組織の健康にも悪影響が出るため、早めの矯正相談を検討しましょう。
症状によって
治療法が大きく異なる
受け口は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせや顎関節、発音にも影響する不正咬合です。
軽度であればマウスピース矯正やワイヤー矯正で改善でき、骨格性のケースでは外科的矯正によって根本的な治療が可能です。
大人になってからでも治療は遅くありません。
気になる方は、まず歯科医院で自分の受け口のタイプを診断してもらい、最適な治療方法を相談してみましょう。