①人の歯の色
歯の色調は、照明により異なりますが、通常は比較的透明なエナメル質を透過して、不透明で淡黄色の象牙質が見えることにより知覚されます。細かく見ると、歯の表面は、微妙な曲面形状を有し、常に湿潤しています。歯冠の部位によってエナメル質や象牙質の厚さは異なります。さらに色調も歯頚部、歯冠体部、切縁で異なっています。
②歯の着色・変色
〇変色の原因
歯の変色の原因として、エナメル質表面への色素の沈着以外にも、エナメル質や象牙質内部に色素が沈着したり、歯冠の形成期になんらかの障害を受けたりすることがあります。変色の原因は、外因性と内因性とに大別することができます。
〇外因性の歯の着色・変色
コーヒー、茶、赤ワイン、タバコなどの嗜好品によって、歯は褐色や黄褐色に着色します。
う蝕による変色は、初期には脱灰されたチョークの様な白濁斑として認知されます。う蝕が進行し慢性化すると、褐色から黒色を呈するようになります。
口腔清掃が不良の場合、歯の色は色素生成菌により緑色や黒色を呈するようになります。
金属によっても歯は変色し、銅アマルガムでは緑色から黒色に、鉄合金や硝酸銀で黒色となります。
〇内因性の歯の変色
1.遺伝的疾患
軽度のエナメル質形成不全症では、エナメル質表面に多くの小窩や線条が発現し、重度の場合には象牙質が露出し歯は褐色となります。
象牙質形成不全症では、歯は独特のオパール象牙質と呼ばれるグレーや青みがかった褐色に見えます。
先天性ポルフィリン症では、形成中の象牙質のカルシウムにポルフィリンが結合・沈着して、歯冠全体がピンクから赤褐色を呈します。紫外線の照射で、罹患歯は赤色の蛍光を発するのが特徴です。
低フォスファターゼ血症は、カルシウム‐リンの代謝が障害され、エナメル質形成不全により象牙質が露出し、石灰化も障害され、歯は黒褐色を呈します。
2.代謝異常疾患
カルシウム代謝が異常となる上皮小体機能亢進症では、歯は黒色となります。
上皮小体機能亢進症では、血中カルシウムが低下、リンの上昇で歯は白亜色を呈します。
先天性梅毒では、歯は褐色から黒色、外胚葉異形成症は褐色の変色をきたします。
先天性タンパク血症や糖尿病の母体からの出生で歯は褐色、小児期の急性発疹で褐色となります。
過ビリルビン血症では、歯は褐色を呈し、ビタミンA・C・Dの欠乏により黒色から褐色を呈します。
3.加齢による歯の黄変
年齢とともにエナメル質が薄くなり、アパタイト結晶の成熟によってエナメル質の透過性が高くなり、黄ばんだ象牙質の色が透けて見えるようになります。
4.歯の傷害
歯髄の傷害や失活などにより、緑色、灰色、黒色などの変色が生じることがあります。これらは血液や歯髄組織の変成産物が、象牙細管内に侵入して生ずると考えられています。
亜ヒ酸の貼薬、外傷、急性歯髄炎、非注水下での高速切削による歯髄内出血は、不可逆性の場合には徐々に歯を褐色にします。
5.内部吸収(ピンクスポット)
歯髄側から肉芽組織が増殖し硬組織が徐々に吸収されて、表面からピンク斑が認められる病変を、内部吸収(歯内性肉芽腫)といいます。
原因は、外傷による出血や感染ともいわれています。通常は1歯だけに起こり、臼歯部よりも前歯部に、歯頚部から歯根部に多く発生します。処置は、直ちに抜髄し進行を止めないと、歯冠にまで穿孔することがあります。
6.フッ化物
斑状歯(歯のフッ素症)は、フッ化物の慢性中毒の一症状で、飲料水に1ppm以上のフッ化物を含む特定の地域に集中的に発生します。
エナメル質表面に不透明な白濁した点状、線状、橋状などの不定形で歯面の一部あるいは全部にわたる白墨状の変色が認められます。
高度のものは歯の実質欠損を伴い、飲食物に由来する黒褐色、茶褐色、褐色などの二次的な着色が認められることもあります。
~初めての方へ~
まずは『無料矯正相談』へ
矯正治療は、歯科治療の中でも専門性の高い分野です。
一生に一度の治療ですので、矯正歯科専門医院にご相談ください。
無料矯正相談では、患者さんが一番気になっている部分の確認や治療法の説明、費用についてなど十分な時間を設けております。
歯並びの影響により、顎の成長や健康寿命、人生観まで変わることがあります。
そのため患者さんの「人生の分岐点」という意識で臨んでいます。
日付: 2025年12月2日 カテゴリ:その他